このレビューはネタバレを含みます
純粋でただ良い人生を送りたかっただけのテスが貧困など様々な運の悪さ(運命か偶然なのか分からないが)によって苦しみ、悲しみ、失望し身も心もボロボロになっていくのがあまりにも切なすぎた。
彼女は芯の強い性格で、すでに辛いことを経験してきたからか静かで現実をありのまま受け入れる。辛いことがあっても弱音を吐かずむしろ強く生きようとしているように見えた。そんな彼女を踏みにじるかのように現実が容赦なく厳しくなっていくのが皮肉に感じて悲しかった。
貴族の名前をお金で買った偽物のダーバーヴィルのアレックが裕福で不自由なく暮らしで、直系の子孫のテスが貧しく苦しんでるという皮肉もかなり不条理でもどかしかった。
この映画の魅力は悲しいストーリーとは対照的なビジュアルの美しさだと思う。アカデミー賞で撮影賞、美術賞、衣装デザイン賞を受賞したのは当然だと感じる。
まずは全体的を通してショットが美しかった。18世紀のイギリスの自然あふれる田舎の美しさとヴィクトリア調の優雅で綺麗な衣装によってあらゆるシーンが美しくうっとりしてしまうようだった。
そしてこの映画の最大の魅力は何と言ってもテス演じるナスターシャキンスキーだと思う。撮影時18歳頃とは思えないくらい完成された美貌だった。演技も10代とは思えないくらい素晴らしい出来で、テスの悲しさ、苦しさ、絶望を表情だけで表していたと思う。
とにかくナスターシャキンスキーがあまりにも美しくもはや感動せざるを得ないほどだった。そんな彼女の圧倒的な美しさに、19世紀イギリスの風景とヴィクトリア調の衣装が合わさるのだから、終始画面から伝わる美しさに心を奪われて3時間という長さもあっという間に感じほどだった。
とにかく美しく、そして悲しい、そんな映画だった。