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テスのseahawkのレビュー・感想・評価

テス(1979年製作の映画)
3.4
ナターシャ・キンスキーが、19世紀末の衣装を身に纏い、印象派絵画のような美しさで魅せる。束の間の情婦時代は退廃的に、農場で働くときには純朴に、色々な画が見られてうっとりする。

運命は貴族の末裔だと発覚したところから狂っていくので、呪われた名前に翻弄された悲劇のヒロインともいえるが、テスの美しさが罪であり、二人の男性を狂わせたファムファタルともいえる。

というのも、うら若きテスを犯した(ことは最低な)金持ち息子も、出て行くテスを引きとめようとしたり、その後もテスに対して本気の様で、結末にふさわしいほどには悪い男に映らなかった。

そしてエンジェルも、古い考えに囚われてひどい仕打ちをしたといえば確かにそうだが、テスの過去は、彼女自身は被害者でありながらも単に交際相手がいたこととはえらい違いで同じような過去を隠していたとは言えないし、今の時代でも、男性は許されても女性が許されない悪習は変わっていないと思うと、凡庸な男性の反応である。

原作のテスは映画より悲劇のヒロインよりの様だが、未読。
ところで、ウィンターボトムの「トリシュナ」が同じ原作の現代インド版だったとは、wikipedia見るまで全く気づかず。
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