きっこ

小三治のきっこのレビュー・感想・評価

小三治(2009年製作の映画)
4.0
まずは、ひとの心ありき


単純におもしろかった。
小三治さんの事全然知らずに見に行きましたが、独特の間が良いですね。さりげなく語られる一言にはっとさせられる。
かなしみと可笑しみ。
芸とは即ちその人自身。その姿が語るもの。
自分が何者であるかを一生かけて探究し続け、己を磨く。
その日々格闘する姿は客には見えない。
けれど、私たちが惹かれる何かはそこにあるんだろう。
今回気がついたことは、
人間を磨けと言っていた藤沢秀行さんや、横山大観さん、私の好きな道を極めていった人は詰まる所同じことを言っていた気がする。
その考え方に共感するのと同時に心惹かれる。
パンフレットなんてそうそう買わない私が勢いで購入。
小三治さんの「記録を残すのは好きじゃない…」という言葉は
「噺というものは高座と客席で作り上げていくもの、その場所で同じ空間と時間を共有しない限り、同じ感情は記録には残せない。」と解釈できるのではないか?
また、「映画と落語双方とも同じく《空間と時間を共有する娯楽》」と監督が述べられた行を読めただけでも、買った意義はあったと思います。

小三治さんと扇橋さんとの息の合ったはなしは必見。そして寄席に行きたくなる事必須です。
田舎に住んでるのが恨めしいなぁ。
(映画生活投稿分2009)
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