スーパーエイプマン

デッドマンのスーパーエイプマンのレビュー・感想・評価

デッドマン(1995年製作の映画)
4.5
ウイリアム・ブレイクの名を持つ白人が博識なネイティブ・アメリカンに詩人と間違えられ、深淵に連れて行かれる話。ド頭の機関車のド迫力からして最高だし、追われる原因となる殺人シーンもマジで見事。かばって死ぬ女→相手を射殺→脱走、この画面の的確な処理にゾクゾクする。逃走後もただ森を馬に跨りながら会話をしているだけなのに、静かで哲学的なトーンが広がっていく。

そして銃と馬、追い追われの追跡劇とくれば完全に西部劇のはずなのに、追手は大した描写もされず銃撃戦にまったく緊張感はない(が、くそかっこよくはある)。それもすべて、本作が乾いた砂漠ではなく、湿った森を舞台にしているからに違いない。湿り気=水のイメージは血が広がる水面や血そのものなど、随所で死と結び付けられながら現れていく。そしてジョニー・デップが彼岸に向かっていき、画面が水で満たされた瞬間に映画は終わる。鳴っているのは抽象的なニール・ヤングのスコア。最高。