これもずいぶん久しぶりに再見。
高畑演出が冴え渡っていて、原作者・野坂氏に「アニメ恐るべし」と言わせただけのことはある。
ただ、清太は軍人の息子なのに、「お国のため」であるはずの隣組の防火活動や、勤労動員に行かなかったり、
呑気にオルガン弾いてたり(そりゃ怒られるの当たり前だわ)、
おばさんとうまくやっていけないと思ったからといってあっさり家を出て行ったり、
まして、節子は是が非でも守らないといけないのに、このおばさんの家には意地でも戻らない・・・。
戻れば、少なくとも何らかの食糧にはありつけたかもしれないのに。
ちょっと中二にしては行動が幼いところが妙に引っかかる。
しかし、これは裏を返すと、
「戦時中なんだから、お国のために活動しなさい、あれしなさい、これしなさい」という強制性、同調圧力に屈しなかった一人の少年の戦いと覚悟、
そして、それがゆえに招いてしまった悲劇、
高畑監督はこれを描きたかったのだと思う。