Tutu

アジャストメントのTutuのレビュー・感想・評価

アジャストメント(2011年製作の映画)
3.4
上院議員立候補中のデヴィッドとダンサーのエリース、二人の「運命の恋」に対し、人間の運命を司るという謎の団体「運命調整局」によって「君たちほんとはくっついちゃいけない運命だから」と、「運命の再調整」という名の妨害工作が行われる。はたして彼らの恋の運命やいかに。

「歩く殺人兵器」ジェイソン・ボーン役で有名なマット・デイモン、今回の敵は人の恋路を「運命だから」の一言で邪魔する「運命の調整人」たちということで、いつもの腕っぷしは中々活かす機会のない辛い役どころである。
この調整員という人たちはどうやら神様とか天使様みたいな人を超越した存在として、人間を定められた運命のとおりに人生を歩ませるとか、そこから外れちゃった人間に対してはレールに戻るよう再調整をするといったことを生業にしている存在らしい。

ある日、ちょっとした運命の捻れみたいなものによって、彼らはデイビッドにその存在を知られるところとなってしまう。そういった脇の甘さや、運命の再調整なんて御大層に宣う割に、やることは連絡先を燃やす、待ち合わせ場所をずらす、といったセコいやり口もあり、調整員は抗いがたい運命として厳然と立ちふさがるわけでもなく、率直に言えば、隙だらけの存在である。本作のメインテーマでもあろう「運命は変えられる」ものであるという、その象徴的存在として考えれば、このくらい緩い方が違和感がないのかもしれない。たった一人二人の運命にドタバタ躍起になっている調整員たちにちょっと親近感が湧く気もする。

「運命」という題材にそんなゆるゆるの筋書き、開始5分ですでに脳裏をよぎるのは「世にも奇妙な物語」である。これは天下のハリウッド版世にも奇妙な物語ですよ。ハリウッドもこういう発想で映画一本取るんだな〜と軽く感動した次第である。個人的にはハリウッド版「ズンドコベロンチョ」を是非観てみたいところ。
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