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アジャストメントのLEGIONのレビュー・感想・評価

アジャストメント(2011年製作の映画)
2.0
ある女性に一目惚れした政治家である主人公が運命に逆らおうとする物語。運命が存在するのか否か、あらかじめ決められていたものなのか偶然の重なりなのか。誰もが一度は疑問に思う運命というものをあらかじめ決められているとした物語だから作品に見入りやすいがストーリーとしての設定が不安定で楽しみにくい。主人公は議員の候補でスピーチをする会場のトイレに行き初対面のヒロインとキスをする。序盤から理解できず、世界観を把握するのが難しかった。まだクラブやパーティーが場所なら理解はできるがあくまでスピーチを控えた議員が会場の中でそのような行動に及ぶ理由がよくわからなかった。緊張で不安を和らげたかったのか。彼らの国の文化なのか。ストーリー構成が最初から主人公に感情移入しにくいものになっていて客観的にしか捉えることができなかった。作品としての質が低いように思ったのは人間という存在を映画が理解できてないように感じてしまったから。一つ目として運命を操る使者は主人公に「日常での細かい点は個人の選択によって成り立ち我々は関与しないが、人生の流れを大きく変えるものを我々が操っている」的なニュアンスの発言をする。しかし人間は日々の細かく、小さい選択を積み重ねていくことで変化を促し、機転を生むことができるようになる。つまり大きな変化は日々の小さい選択から成り立っている。小さい選択に関与できないにも関わらず小さい選択の集合体に関与できるのはなぜなのか、理解できなかった。二つ目として運命を操る使者は「飲み物をこぼしたり、忘れ物をしたりするのは我々が操っているから」的なニュアンスの発言をする。人間は不完全体で常にミスを意図しなくとも自発的にすることで人間として存在することができる。しかしそのミスを運命を操る使者が引き起こしていたものならその世界の人間が完璧な存在であることの証明である。だとしたら運命を操る使者たちが運命を操る理由となった「人間の醜い争いなどの過ちを二度と起こさないようにする」はミスの本質が少しズレているが行なっていることと矛盾してしまう。
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