Tutu

GOEMONのTutuのレビュー・感想・評価

GOEMON(2008年製作の映画)
2.5
伝説の大泥棒・石川五右衛門を主役に据え、紀里谷監督流の解釈による本能寺の変から関ヶ原合戦までの顛末をやり過ぎ感全開のCGで味付けした、一風変わった大作時代劇。

冒頭から自己紹介とばかりに、過剰なCGてんこ盛りの紀里谷ワールドが眼前に。はっきり言ってくどいので、10分くらいで観るのが嫌になりかけるんだけど、我慢して観続けているとこれが不思議とすんなり受け入れ始めている自分に気がつく。

確かに絵面は派手で目を引くが、目新しさを感じる点はどこにもない。時代劇の新解釈なんて手垢のついたネタだし、マトリックスのような革新的なアクションもない、ストーリーも陳腐。どこを切ってもどこかで見たような要素ばかりだが、決して観れない映画じゃない。そんなところに僕は何となく日本人的なものを感じて、親近感の湧く映画だな、と思った。イノベーションには不向きだが、インプルーブメントには長けた日本人的な映画。それが一見して、海外に受けそうな新しい時代劇を指向してるように見受けられるという皮肉めいた部分も、個人的には好きなところ。

ゲームっぽいというレビューが凄く多いけど、僕も全く同感。このシーンは三国無双、ここはメタルギア、あそこはアサシンクリードとか、いくらでも名前が挙がってくる。正直まったく期待しないで観始めたので、本当につまらなかったら僕はがんばれゴエモンの思い出話だけを書いてレビューを終わろうと思っていたんだけど、前述の通り結構好意的に鑑賞してしまったので、それはまた別の機会となった次第。

とにかく面白い作品を作ろう、という監督の熱意だけは暑苦しいくらい伝わってくる映画である。それが誰かしらには伝わるから、いくら酷評されても映画を撮る機会に恵まれる監督なんじゃないかな、と個人的には。いつか名作を撮ってくれるといいな。
Tutu

Tutu