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鍵泥棒のメソッドのEDDIEのレビュー・感想・評価

鍵泥棒のメソッド(2012年製作の映画)
4.3
伝説の殺し屋“コンドウ”。売れない役者桜井はとある出来事をきっかけに銭湯で出会ったその男と人生が入れ替わる。次から次に巻き起こる予想だにしない事象に笑いが止まらない。半沢直樹コンビが織り成すシュールなクライムコメディ。

ドラマ半沢直樹シーズン2も佳境に突入しましたね。昨日放送分の半沢、中野渡頭取、大和田常務、箕部幹事長の四つ巴は熱かったです。さすがにシーズン2になってから土下座やりすぎだろう(未遂ですが)と感じてしまいますが、やはり面白いですね。ビジネスパーソンはこの作品を観て色々と思うところがあるんじゃないでしょうか。

さて、今回はそんな半沢直樹で名場面製造コンビである堺雅人と香川照之が共演したドタバタ劇『鍵泥棒のメソッド』のレビューです。以前観たことはあるんですが、やはり面白い。脚本が素晴らしいですよね。

香川照之演じるコンドウが銭湯の石鹸で転んで頭を打ち、なんと記憶喪失に。お金もない、人生に明るい未来が思い描けない堺雅人演じる桜井は自殺をも考えていましたが、銭湯で羽振りの良いコンドウの財布などなどを拝借。人の記憶喪失をいいことに他人に借りたお金を返すなどする桜井でしたが、コンドウ宅にて危ない仕事をしている人間の財布を盗ってしまった罪悪感に駆られます。

桜井は盗んだものを返そうとコンドウの病室に訪れたり、入れ替わり後に自身の自宅を彷徨いてたら記憶喪失のコンドウと遭遇するなど、絶妙なすれ違いや遭遇を繰り返します。もうね、アンジャッシュのコントを観てるみたいな感覚です。

一方のコンドウは桜井の人生を歩むことになりながらも、本来の努力家な性格により皮肉にも人生が好転していきます。さらには結婚したいと計画を立てる広末涼子演じる水嶋佳苗ともいい感じに。
桜井の計画性のない残念な性格との対比がわかりやすく描かれ、途中からはコンドウの人生を応援したくなる想いで作品を追いかけることができます。

まぁあとはコンドウの本来の殺し屋の仕事が物語に絡んできてドタバタと想像だにしない展開になっていくわけですが、桜井の計画性のなさがまた笑いに変わっていく模様が最高なんですよ。

お金があったとしてもダメな人間はダメだと突きつけられているような感覚。半沢直樹の正義感溢れる主人公像を頭に刷り込まれていても、本作では本当にだらしないダメ人間に思わせる堺雅人の演技力は素晴らしいですね。しかも売れない役者という役柄だから大根役者っぷりも見事表現。役者が演技力のない役者の役をやるってのもかなり面白いですよね。
広末涼子演じる佳苗のシュールな感じもたまらなく面白いです。ってか編集部の同僚たちも佳苗の結婚計画に真面目に協力するあたりがたまらなく面白いです。

そういえば合コン候補者の写真にムロツヨシが出てました。それだけで面白いんですが、2012年と考えるとムロツヨシはまだブレイクしてない頃ですもんね。たぶん当時は「勇者ヨシヒコ」シリーズでムロファンになった人以外気付きもしなかったんじゃないでしょうか。
コンドウに殺しを依頼するヤクザの工藤純一役を演じる荒川良々もやはりいい役者。結構面白い人のいい役をする印象が強いんですが、本作ではちゃんと強面のヤクザになり切っています。桜井が終盤工藤たちを欺こうとしたシーンの「お前舐めとんのか」のドスの効いた感じは凄く良かったですね。

かなり良質なコメディ。万人にオススメできる作品です。

※2020年自宅鑑賞268本目
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