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愛にかける橋のmhのレビュー・感想・評価

愛にかける橋(2002年製作の映画)
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ちょっと前にみた「イースト/ウェスト 遙かなる祖国(1999)」はソ連から脱出できなくなる話だけど、こちらは中国から抜け出せなくなる。
序盤は1930年代で支那事変前。オーストリアの警察学校で訓練を受けている中国人グループがいる。国民党政権が遣わしたのか、それとも、オーストリアが支援しているものなのかはっきりしない。ぐぐってもわからない。
そのうちのひとりと恋に落ちる女性が主人公。ただし地上の楽園と呼ばれる以前の中国なので、彼女はコミュニストというわけではなく、ただの大恋愛で中国に渡ることになる。
日中戦争の空襲にも触れるけど、反日要素は一切なしで逆に心配になる。
受話器を握る旦那さんの向こうには国民党の旗がかかっていたりする。
おそらくこの映画は政治的なプロットを意図的に省いている。そうやって、中国との合作を実現している。
そんなわけで、国共内戦についてもノータッチ。ただ、国民党政権下で警察学校の先生やっていた旦那さんは収監されることになる。
ニ回目の不在は、おそらく反右派闘争によるものと思われるが説明がないので確信は持てない。でも多分あってる。
クリスマスのくだりは、辺境に地にある労働改造所に訪ねていくというワンビン「無言歌」と同じ状況。ただ、実際の労働改造所のゲキヤバな環境を映像にするわけにはいかなくて、気軽に尋ねられるわりに、役人が大騒ぎするという、なんかへんな場面になってしまったんだろうね。
文化大革命についてはサラッと触れる程度だった。
ソ連もだけど中国もやってることがめちゃくちゃで、実際のところかなり怖い。
中国の検閲も通したということを加味して鑑賞しないとならないけど、さまざまなプロットが一度に味わえる楽しい映画になっていた。
DVDには短いけど監督のコメントが収録されている。橋を印象的に使っているとのことだった。日本においても橋は特別は存在なんだよな。アジア圏で共有している思い入れがなにかがあるのかもしれないね。
主人公の役者さんが、そんな美人じゃないのも良かった。
面白かった。
mh

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