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海辺のポーリーヌのtaのレビュー・感想・評価

海辺のポーリーヌ(1983年製作の映画)
4.4
緑の葉のざわめきが肉体に劣らぬエロスを喚起するとき、映像の詩情が生まれる。

門で始まり門で終わるということ、葉に囲まれた家。海辺での会話シーンは多いのに、男女が海に繰り出して泳ぐという開放的なシーンは描かれない。恋愛において、人は自分と相手だけの閉ざされた世界へ入っていく。
そこでは、求めている相手のもとに行けるか、彼/女に触れられるか、彼/女は何を考えているかということだけが意味をなす。重要なのは少女の家に行けないという事実であって、家までの具体的な距離は単なる記号として響くし、道筋は示されない。肉体を交わした相手の家であれば、窓から入ることさえ出来てしまう。舞台の外部は、そこに彼/女が行ってしまうことで会えなくなってしまうという意味しかもたない。色とりどりの洋服は相手の心と肉体とを読み取らせる。

この作品では、カメラの外は不在であり、眼に見えない。反対に、カメラの前のものは全て透明な光となって暴露される。
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