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愛の奇跡/ア・チャイルド・イズ・ウェイティングのryoのレビュー・感想・評価

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「彼らは皿洗いもできるし荷物の梱包だってできる」
「それで幸せって言えるのか?」
「私たちだってその程度だろう」

アホだから父親が振り返らずに車で発つ冒頭を見て「ああこれは親子の視線が交わって終わるんだな」と思って泣いてしまう。やはりそうなのだが、さらに劇のシークェンスで初めて登場したピアニストが笑いながら画面外に目をやると、続くカットでポール・スチュワートが微笑み返す。この切り返しに言葉はなく、たった2カットで28年を表してしまう。おまけに土本『わが街わが青春』も過って最後まで泣哭止まず。たとえ編集権がなくても突き抜けてくる被写体への愛の奇跡。フレーミングは突出して変な箇所はない(撮影ジョージ・ラシェル、例外的に軍人兄の逆光気味な仰角2カット)のだがそこがメジャーのポイントか。カサヴェテスはオープニングクレジット拘る。
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