佐藤克巳

刺青一代の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

刺青一代(1965年製作の映画)
5.0
「野獣の青春」の完璧な映像美から試行錯誤がありながら鈴木清順監督は、任侠映画の孤高を極めた傑作を遂に輩出した。弟が斬殺され画面が稲光と共に赤く染め上がり、着流し姿の高橋英樹が弟との最後の対面を済ませ、雨中蛇目傘片手に一目散に斬り込みを断行、橋の袂の道すがらで刀を受け取り、塀を乗り越え、青の障子を次々開き黄色に染まった後画面いっぱいの畳で鮮やかに数人を切り倒すと、親分河津清三郎と一騎打ちで倒すまでの一連の舞台芸術の完成度に舌を巻いた。此処に高橋の演技開眼と和泉雅子との名コンビは頂点に達したと言えるだろう。
佐藤克巳

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