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刺青一代のあのレビュー・感想・評価

刺青一代(1965年製作の映画)
4.5
ここぞというシーンを広角の引きで撮り切ってしまう。やっぱり鈴木清順の画作りは神がかり的にスタイリッシュですね。

母性に飢えたケンが、子供のように奥さんを求めて拒絶されたが、いざ神戸組の魔の手が迫ってきたところで身を挺し、男となるところがよかったです。そしてその神戸の組長とケンが出会うところで、高い屋敷の障子の向こうからいやらしく覗く神戸の組長と、低い地面からも存在感を持って構えているケンの構図が本当に素晴らしかったです。兄貴にも圧倒的な存在感がありましたが、そこへさらに弟から本当の愛、「男」というものが感染していくところが本当にかっこよかったですね。そして怒りに打ち震えた鉄が神戸を討ち取り、みどりとの別れ側に初めて刺青をパッと見せるとそこには白虎のような模様に一直線の切り傷。これで晴れて自分の負ってきたものを断ち切って見せたとわかる。ああ、だから「刺青一代」なのか!もうしばらくご飯におかずはいらないと思いました。単純な話をここまで面白くするのが「演出」なのかとハッとさせられました。
あ