おーつ

クラッシュのおーつのレビュー・感想・評価

クラッシュ(2004年製作の映画)
4.5
差別と偏見、憎悪と不信が渦巻く人種の坩堝アメリカ。そこで人と人の肩がぶつかるように起きた交通事故がアメリカのリアルを浮き彫りにさせる群像劇。

内容以前にビビったのがポールハギスって2005年アカデミー作品賞『ミリオンダラーベイビー』の脚本を執筆し、その次の2006年アカデミー作品賞である今作『クラッシュ』の監督兼脚本を務めている。
なにこの映画人として濃すぎる2年間!笑
その後も彼のフィーバーは続き、2006年には007シリーズ屈指の傑作『カジノロワイヤル』と続編の『慰めの報酬』の脚本を執筆しているんです。
というわけで無意識のうちに私はポールハギスのファンになっていました!

最近、トランプが大統領になった事で人種や宗教の蟠りが浮き彫りになっていますが、日本に住む私達にとっては正直ピンきません。
よく差別をテーマにしているアメリカ映画でスポーツや歌で人種を超えて手を取り合うような作品をみかけますが、そこで描かれている差別は非常に小規模だと思うんですよね。
この映画では、「アメリカ全体では差別意識があったとしても、みな何かしら支えあって生きている。」というリアルを描かれている点には衝撃を受けました。
差別意識を持っている人間でも親孝行をしたり、事故現場の要救助者を助け出したりする良心はあるが、それでも差別はなくならないという難しさ。

この映画を観終えて、
日本人の私が「アメリカの差別良くないよね~」と気安く言えない状態になってしました。
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