憎悪が憎悪を呼ぶ。それぞれにそれぞれのストーリーがあり、自分より弱い誰かを攻撃しながら防衛する。その連鎖を黄色い声で後押しするのは何よりも自分自身の中にある弱さであって、それは葛藤と呼べるほどは美しくないし、ヒーローを引き立たせるほど邪悪でもない。倫理的な要求を受け付けなくするものはなにか。黒人の上級の警官も、映像クリエーターも、白人の女性も全てそう。
現実の中で正しいことのほとんどを私たちは許せない。立場を守るために差別をされても黙って従うという行為が描かれていた。その怒りを大らかに出して、現実がライトアップする正しさに抗議できる連帯はどう作られるのか。したことには鈍感でされたことには敏感な個人でいつづけてはそれは難しいし、自分のあり方に批判的であるための条件は結局知性になるのだろうか。でも全員が共存しあって、社会は作られている。決して共生はしていないし、布置は不平等だけど、空間を共有していた。繋がれるはずの機会を見えなくする弱さと憎悪が明確に描かれていて素晴らしいなと思った。クラッシュというタイトルはシンプルだけど、衝撃も衝突も崩壊も含んでいるみたいでいいタイトルだった。やっぱ余暇ってだいじだよね〜！
