meiko

ある歌い女(うたいめ)の思い出のmeikoのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

しばらく言葉も出てこないぐらい疲れた。。
美、血、歌。の三つの印象。
女性監督の作品やけど、男性目線で女性を見るようなシーンも多かった気がして不思議なモゾモゾした気持ち。

父への憧れ、拒まない母への苛立ち、外に出れないからグルグル庭を走り回るだけ、
そしてたぶん精神的にも病んでしまったアリヤは、籠の中の嘆く鳥のような女性たちのなかで一人だけもがいていて。

お母さんが自分の美しさを忌み嫌うさまを見ていて本当に気分が落ちる...
現代はこんなに、美しくなることに精を出す女性たちが多いのに、なんという違いかと思う。
自分の美を楽しめる人間でいることもまた、この時代と比較すると大変なことなのかと思うと、
自分が今いる環境がいかにマシかと考えてしまい、
ウクライナの惨状が耳に入ったときの気持ちのように
どんどんしんどくなる。、

でもそんなふうに落ちていくことはきっと意味がなくて、
マシだろうがなんだろうがそんなことは関係なく、いまの日本にも女性の生きづらさはたしかにあり、
それに時折殴られながら、日々生活している自分たちもやっぱりもがいていると思う。

楽器を手にしたり歌を歌って弾けるような笑顔を見せたアリヤの顔がたくさん増えますように。
従順な美より、晴れやかな健やかな美しさを目指し続けたい。それを目指す選択肢があることを心に置きたい。
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