Omizu

慕情のOmizuのレビュー・感想・評価

慕情(1955年製作の映画)
3.5
【第28回アカデミー賞 歌曲賞他全3部門受賞】
ベルギー人と中国人の血を引く女性医師ハン・スーインの同名の自伝的小説を映画化した作品。監督は『聖処女』ヘンリー・キング、主演も『聖処女』でアカデミー主演女優賞を受賞したジェニファー・ジョーンズ。相手役は『サンセット大通り』ウィリアム・ホールデン。

アカデミー賞では作品賞を含め最多8部門でノミネートされ、衣装デザイン賞、作曲賞、歌曲賞の3部門で受賞した。

主題歌"Love Is a Many-Splendored Thing"がヒットし、ロマンス映画の名作とされている。

今観ると色々と思うことはあるが、スケール感といい堅実な演出手腕といい、ジェニファー・ジョーンズの演技といい一級品なのは間違いない。

その「思うこと」はやはり人種のこと。アメリカ人のジェニファー・ジョーンズがベルギー人と中国人との間に生まれたハン・スーインだとは思えなかった。当時のハリウッドではありがちであるが、もう少しアジア系に配慮があればなぁというのがノイズになった。

ヘンリー・キングの叙情的な語り口はよかった。あの丘のシーンがいいよね。一回目は女が男を待ち、二回目は男が女を、三回目は…という。主題歌の力もありおもわず涙ぐんでしまった名シーン。

概ねいい作品だとは思うが、アジア人としてはノイズが入ってしまうのは致し方ない。ロマンス映画としては満点。
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