福福吉吉

容疑者Xの献身の福福吉吉のレビュー・感想・評価

容疑者Xの献身(2008年製作の映画)
4.0
天才物理学者湯川学(福山雅治)は、女性刑事内海(柴咲コウ)とともに幾度も困難なトリックを暴いて事件を解決に導いていた。
男の死体が発見され、警察はその男の元妻の花岡靖子(松雪泰子)に疑いの目を向けたが、完璧なアリバイがあった。内海が湯川に相談を持ち掛け、行動していくうちに、花岡靖子の家の隣に湯川の友人で天才数学者石神(堤真一)が住んでいることを知る。旧友との再会に喜ぶ湯川であったが、この事件に石神が関わっていると確信する。

人気テレビドラマ「ガリレオ」の劇場版オリジナル作品である。

湯川が天才的な頭脳を発揮して事件を解決していくスタイルはテレビのときと同様で変わらない。
しかし、本作の主人公は、間違いなく天才数学者石神であったと思う。本作のストーリーの大半が石神の天才的な思考に基づく工作であり、とても面白かった。隣人である花岡靖子とその娘のために思考の全てを尽くした石神はまさに献身的で、石神に感情移入をせざるを得なかった。石神を演じた堤真一のあまり冴えない風貌、暗そうであまり喜怒哀楽を表に出さない性格、それでいて天才的な思考を自然に行う姿勢と見事に演じきっていた。

また、石神がかばう花岡靖子も、子を案じる母親の気持ちと罪悪感に板挟みになる感情が映像からとても伝わってきた。

非常に切なくて悲しいストーリーであったが、大変面白かった。
福福吉吉

福福吉吉