◆あらすじ◆
ベトナム戦争で命がけで多くの兵士を救助したウィリアム・H・ピッツェンバーガーだったが、名誉勲章が叙勲されることはなかった。国防総省のスコット・ハフマンのもとに現れた元軍人トム・タリーはピッツェンバーガーへの名誉勲章の叙勲を請願する。ハフマンは最初は渋々だったが、退役軍人たちの証言を集めていくうちに、なぜピッツェンバーガーに叙勲されないのか疑問を持ち始める。
◆感想◆
ストーリーのテンポは普通だが、戦争時の戦場の状況と現在の退役軍人たちの証言を交互に描くことによって、ピッツェンバーガーが如何に勇敢で献身的な軍人だったのか伝わるように描かれており、その中で主人公のハフマンと同じように、彼に勲章が与えられないのはなぜかという疑問を持つようになっていて、分かりやすいストーリー構成になっていました。
主人公のスコット・ハフマン(セバスチャン・スタン)は若くて出世欲の強い人物であり、本来、戦場のことなど関わろうとしない人物でしたが、ピッツェンバーガーへの叙勲を請願されたため、やむなく精査に携わることになります。しかし、ピッツェンバーガーと関わった退役軍人たちの証言を重ねていくうちに、ピッツェンバーガーの偉大さに触れて、なぜ叙勲されないのか疑問を持ち、過去を探っていきます。ハフマンの表情が前半と後半で明らかに変わっており、そつなくこなしている前半から感情をもって職務に当たる後半の表情への変化が印象的でした。ハフマンは後半、自身の出世さえ捨ててピッツェンバーガーの叙勲に全てを懸けている覚悟がとてもカッコ良かったです。
戦場の映像は証言した退役軍人とピッツェンバーガーの姿を中心に描いたものですが、ストーリーが後半になり、その戦場の犠牲を引き起こした原因が分かっていくと、その悲惨さが如実に現れてきて、救いのなさに呆然としました。
また、ピッツェンバーガーの両親が登場しますが、父親のフランクは癌にり患しており、余命いくばくもない状態にあるにもかかわらず、息子の名誉勲章の叙勲を願います。名誉勲章の重みが私にはわかりませんが、死んだ息子に対してその両親が最後まで願い続けるものなのか、と少しばかり感じることができました。
ラストシーンはとても熱いものがありました。
ベトナム戦争をテーマにした作品は多々ありますが、まだまだ知らない事情があることを実感し、観てよかったと思いました。
鑑賞日:2024年3月21日
鑑賞方法:CS ムービープラス
(録画日:2023年6月9日)