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父親たちの星条旗のadeamのレビュー・感想・評価

父親たちの星条旗(2006年製作の映画)
2.0
70代でクリエイターとしての最盛期を迎えていたイーストウッドが、硫黄島を舞台に繰り広げられた太平洋戦争での日米間の激戦を双方の視点から描いた硫黄島プロジェクトのアメリカ編。
歴史は勝者によって作られると言いますが、戦争映画は制作者が立つ視点によって如何様にも物語の印象が変わります。
その試み自体に明らかなメッセージが込められており、さらに序盤に人は戦争に善と悪の二元論を当てはめて英雄を作りたがるが間違っていると語られるので、作品の目指すべきところは明確です。
今作は戦争そのものよりも、この闘いにおいて最も有名な一枚の写真をキーとして、国がそこにいかに幻想を作り出し、人がそれをいかに安易に信じているかを描き、その狭間で振り回された兵士たちの苦悩に焦点を当てています。
テーマは独自性があっておもしろかったのですが、現代と帰国後と戦場といくつかの時間軸を行き来する構成がうまくいっていない印象でした。
特に戦場での記憶をフラッシュバックで見せたいのか、ベーシックに描きたいのか中途半端で、不必要に話を複雑にしてしまっている気がしました。
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