自分だったらやりたい事リスト何かなと考える映画ランキング第1位
23歳のアンは幼い2人の娘と夫ドンと共に、貧しくも幸せな生活をしていた。しかしある日腹痛で倒れたアンが検査を受けると、余命2〜3ヶ月と宣告されてしまう。彼女は直ぐに「死ぬまでにしたい事」というリストを作り、誰にも病気の事を話さないと決め、リストの項目を一つずつ実行していく…。
とにかく美しい。今の自分と同じ歳の人が人生の終わりを知った時にとる行動として偉大だなと思った。リストも決してわがままな内容だけでなく、家族や残される人達に向けて最後に出来る愛を注ぐ様な温かいものばかりで感銘を受けた。
娘達へ18歳の誕生日までのテープレコーダと、手紙を残す場面は心が苦しくなる。
似た映画によくある別れを惜しみ同情を誘う演出はなく、シンプルに溶ける様に静かに進む展開に美しさを感じた。
リストには「夫以外の人と付き合ってみる」というのもある。確かに子供も旦那もいて幸せだったのに、いわゆる「不倫」をする必要はないかとも思うが、自分は「あえて不倫の恋をして、ドンが子供達にとって良い父親だと客観的にみるため」にとった行動ではないのかと想像した。恐らく17歳で長女を出産しているアンは、ドン以外の男性をあまり知らないと思う 。選んだ人が本当に素敵で子供達の幸せをこの先任せても大丈夫な人間であるのか納得出来なければ、不安が残ってしまう。この後悔をしない為にリストに残したのではないか。
不倫の相手に選ばれてしまったリーも、恋人と別れ傷ついた心を癒す存在が現れた事により、立ち直るきっかけを与えて貰っていたに違いない。アンに「不倫ではなくドンを知る為」という篤実な心がなければこの2人はただ良くない方向へと進んでいたと思う。
ラストシーンはアンが亡くなった後の世界を描いたものなのか、妄想の世界なのかはっきり分からない。アンがよく歌い劇中でも何度か掛るビーチボーイズの'Got only knows'の様に「神のみぞ知る」のか。ただ何故だか幸せで、穏やかな日常が送られていると感じる。それ程綺麗なラストだった。
引っかかったのはアンの最後の方のセリフにある「死んでしまえば何も感じない」だ。死を迎える事で自分は解放されるが、残された人達は何も知らされず別れもできないまま、急に亡くなった最愛の人の死と向き合う"痛み"を感じなくてはならない。最後にして主人公の少し淡白な部分を感じ取ってしまった。