半兵衛

破壊!の半兵衛のレビュー・感想・評価

破壊!(1974年製作の映画)
3.9
10代のころに見たときには長回しの銃撃戦や、主役の二人の刑事の掛け合いや犯人との丁々発止を面白がっていた。しかし大人になってから見直すと、社会の仕組みを知り尽くしているものの、それでも正義を貫き通す一見すると暴力刑事なのに実は人生に不器用で熱い男の物語と言うことに気づかされる。二人の刑事が逮捕しようとする裏社会のボスの車を燃やすなど挑発する彼らの姿は、痛快なようでいて実はひたすら強大な世界に対して滑稽なまでに抵抗するドン・キホーテと同じことも(本来刑事物のテンプレであるはみ出し刑事に敵対する上司でさえ、現実の壁に阻まれて己の無力さを痛感している人間像なのがビターさを増幅させる)。

そしてラスト、ターゲットである犯人を捕まえたものの、現実の壁を突きつけられてしまうのが年を重ねるとより痛切に感じてしまう。

あと余談だが、主役二人のキャラクターや物語の展開は日本の刑事ドラマに影響を与えているみたいだけど、軽快な掛け合いや激しい銃撃戦の裏にある現実の苦さまできちんとやっているのは「俺たちの勲章」や「大都会パート2」の松田優作ぐらいではないだろうか。そう思うと優作は勉強家だなと改めて思う(エリオット・グールドの影響が大きいのだろうけど)
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