ブレッソンは監督としてデビューした本作からまったくぶれていなかったのだなと強く感じた、確かに撮影や役者の演技は後年の独特な拘りは見受けられず平凡な印象を受けるがそれでも観客の安易な感情移入を拒否するような厳格な演出や神と人間の距離を問うテーマなどはまさにブレッソン。
神に支えるため修道院に入った女性アンヌが自分の価値観を周囲に拒否されそれでも犯罪に身を落とした女性を救わんとするも彼女は大罪を犯してアンヌは手をさしのべることも出来ずただの修道女として果てるというストーリーも監督の後年の傑作群に繋がるものがあった。そして衝撃的なラストは『ラルジャン』へ。