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八日目の42carのレビュー・感想・評価

八日目(1996年製作の映画)
3.2
 サラリーマンのアリーとダウン症のジョルジュが偶然出会い、道中で友情を育んでゆく物語。

 ビジネスマンとして成功を収めていた反面、家庭をおざなりにしすぎて妻子に逃げられていたアリーが、社会という枠で生活してこなかったジョルジュが持つ無垢さによって、失っていた人間として大切な部分を取り戻す過程を描いたのを期待していたのですが、予想よりはるかにリアリティがありました。障害者を描いた作品って純粋や無垢といった部分にばかり焦点を当てているイメージなのですが、本作に関しては(基本的にファンタジックな描写ですが)感情の起伏の激しさを多く描いていたりと必ずしも美化しすぎていませんでしたね。果たして自分は全てを受け入れていい面を評価できるような人間なのだろうかと考えさせられました。

 特に印象に残った場面が靴屋のシーン。ジョルジュとしては普段からしているであろう獣?のモノマネをしてどうにか靴を手に入れようとしているのですが、それをされた店員からしてみれば全く意図が掴めず、恐怖に駆られるのは理解に易いです。しかし、ジョルジュとしては害意は恐らく無い訳で、現実にもそういう場面は有り得たのではないかと思いを馳せざるを得ませんでした。

神が八日目に作ったジョルジュはアリーに人間性を取り戻させてくれたんでしょう。たまたま数日前に人生初の教会へいく機会があり(人生、宇宙、これまでの全てに懺悔したかったんですけどプロテスタントの教会だったので出来ませんでした)、たまたま聖書の一番最初の部分をちょっとだけ触っていたので余計に感慨深かったです。単純ですね笑

一言で言えば『クレイマー・クレイマー』を期待していたんですけど、意外と冷たく現実を突き付けられて吃驚しています(笑)
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