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サン・セバスチャンの攻防の一人旅のレビュー・感想・評価

サン・セバスチャンの攻防(1968年製作の映画)
4.0
アンリ・ヴェルヌイユ監督作。

メキシコの田舎村サン・セバスチャンを舞台に、神父を装うはめになった犯罪者アラストレー(アンソニー・クイン)が村人の協力を得ながら原住民や野盗と戦う姿を描く。

設定的には『俺たちは天使じゃない』に類似しているが、本作では原住民の襲撃や、村の存続を賭けて死闘を繰り広げるシーンなどアクションも重視されていることが特徴。
そして野盗の首領役をチャールズ・ブロンソンが演じている。
敬虔なクリスチャンである村人は神父の格好をしたアラストレーを村の救済者として、そして奇跡を呼ぶ聖者として尊敬していく。だが、何かを求めるための信仰は真の意味での信仰とは呼べない。神から示される奇跡に意味はなく、神が何かをしてくれるわけではない。信仰することだけが意味を持ち、村人は信仰を支えに村を原住民から守るための具体的行動に移していく。村の救済に神の見えざる力が介入しているように見えて、実はそうではない。全ては信仰心を持つ村人の間で自己解決されている。アラストレーが本物の神父であるかどうかなど始めから関係ない。信仰の対象に意味があるのではなく、信仰自体に意味があるのだ。
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