一人旅

異人たちの一人旅のレビュー・感想・評価

異人たち(2023年製作の映画)
3.0
アンドリュー・ヘイ監督作。

山田太一の1987年の長編小説「異人たちとの夏」を『荒野にて』(2017)のアンドリュー・ヘイが映像化した幻想譚で、同原作の映画化は大林宣彦の1988年版に続き2回目となります。

大林オリジナル版は未見なので比較はできませんので、本作単体としてのレビューにはなりますが…。舞台を日本から英国に移した翻案リメイクで、幼少期に両親を交通事故で亡くした過去を持つロンドン在住の脚本家のゲイの中年男が、亡き両親と暮らした郊外の実家で両親の幽霊と再会を果たし交流を重ねていく様子を、主人公の男と同じマンションに暮らすゲイの年下の男との出逢いと同性恋愛を交えて映し出した幻想ドラマとなっています。

両親の事故死が現在まで続くトラウマ体験となっている孤独なゲイが両親の幽霊との出会いを通じて生きる気力を取り戻していく様子を郷愁と哀感の中に描いた作品で、亡き両親に対する想いと息子への深い愛情が溢れ出る束の間の親子のひと時が胸に迫る切なさとなっていますし、主演のアンドリュー・スコットが孤独と愁いを帯びた妙演を見せています。
一人旅

一人旅