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ミスティック・リバーのKのレビュー・感想・評価

ミスティック・リバー(2003年製作の映画)
3.8
余韻系。もしあの時こうしていれば。その取り返しのつかない残酷さ。過去は変えられないが未来は変えられる。そんな言葉が嘘くさく空虚に感じられてしまう。飲み込まれ、踏みとどまろうとして、また飲み込まれてゆく。河川で言えば支流に逃れても本流へと収束する流れからは逃げられないような感覚。一体この人がもしくは自分が何をしたというのかと嘆きたくなる悲しい出来事が日常でも起こる。次から次へと流れてくる悲しみを見送ることはできても、あらがうことはできない。どうすれば防げたのかという正解のない問い。運としか言いようのない理不尽さ。生きている限り大なり小なりその理不尽さに見舞われ続ける。心のケアの必要性。彼の心のケアと理解者の存在は充分に見えなかった。本編とは関係ないけれど、日本でももっとカウンセリングが身近になればいいと思う。重い内容ながら完成度の高い作品。人がいかに自分にとって都合の良い解釈をしてしまいがちか。先入観・レッテル貼りの危険性も伝わってくる内容だった。真実を知っているのは観客のみ。イーストウッド監督が担当した音楽もよかった。
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