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ミスティック・リバーのmjnkのレビュー・感想・評価

ミスティック・リバー(2003年製作の映画)
4.0
2020/06 CS録画。イーストウッド監督作。子供の頃の事件と大人になった"現在"の事件が混じり合う話。『スリーリバーズ』『スリーパーズ』と本作「どれがどれだっけ?」となりがち。面白かった記憶はあるんだけど…という事でどうしても再見したかったのですが、記憶よりミステリーメインではなかったかも。でもわりと好き。

「たったひとつの選択が運命を変えてしまう事がある」というのがキーになっていますが、時を経て振り返ると、そこにはもう「あの頃の自分(たち)はいない」。この辺に郷愁みたいなものを感じます。
事件の真相もそうですが、デイヴは何故ハッキリ言わないんだ!とか、一緒に遊んでたジミーがこんな大人に!とか、ショーンだけは少し町から離れたのか(でも幸せではなさそう)…というような「かつて少年だった3人」の現在の生活や環境など全てが(描かれなかった部分も含め)、ある日ある時の「たったひとつの選択」によるものなのかもと思うと、やんわりと切ないような気持ちになる。

そう考えると、ミステリー部分の「誰が犯人なのか」はおまけみたいなもので、誰しもが一度は考えるであろう「あの時こうしていれば」を追体験するのがこの映画のメインだと感じます。終盤のショーンの言葉は印象的ですが、あれも単に昔の事件だけを指しているのではない気がする。彼らに強い影響を与えた象徴的な事件を借りて、「たったひとつの選択」を繰り返す人生そのものを指しているように思える。

観賞中「私がこの町に生まれてこの中の3人のうちの誰かだったら、きっと10代のうちに町を出ようとするだろうな」と考えていましたが、それはつまりジミーの娘ケイティのようで、それもまた本作における「たったひとつの選択が運命を変える」に繋がり、うーん…となります。
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