けすん

ミスティック・リバーのけすんのレビュー・感想・評価

ミスティック・リバー(2003年製作の映画)
4.0
全体を通してどんよりとした空気感が漂っている。少し重ためなストーリー展開なため、しんどくなってしまう人もいるかも。この作品は重厚なミステリードラマと言われるだけあって、怪しげな人物が幾度となく登場する。自分の頭で犯人を推理しながら見るとより一層楽しめることは間違いない。

少年の頃の話が冒頭に少しだけ入るのだが、この時の話があとあとボディブローのように効いてくる。一見昔のちょっとした思い出話と思うかもしれないが、この時の事件がデイブを変えてしまった。吸血鬼という比喩で自分の人生が変わったことを表現していたのが粋だと感じた。

冒頭や中盤に下水に流れてボールが戻って来ないという話があったが、水の中には秘密がたくさんあるという暗示であったと解釈した。【ミスティックリバー】という題名の秀逸さが感じられたポイント。

憎しみや悲しみは、結果的に負の連鎖を巻き起こしてしまうという皮肉をうまく描けていた。ショーンの少年時代に車で連れて行かれるのが3人だったら…という話が印象的。ちょっとした出来事で人生が変わってしまうという教訓だと感じた。ジミーを捕まえへんのかい!と突っ込みたくなったが、独り身になってしまったセレステの悲しさと、家族円満なショーン、ジミー2人との対比の為であったと解釈した。
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