このレビューはネタバレを含みます
観る人を選ぶ。
監督兼主演のタチは、劇中でわずか二言三言しか話さない。映像で見せる面白さ。
「電車に駆け込み乗車をしようとして、目の前で扉が閉まってしまう」ような面白さが延々と続く。筋ある内容なんてないよう。まるでフランス映画じゃないみたい。
ー特筆すべき面白シーン
オテル(ホテル)の一室でタチが大音量でレコードを聴いている。ロビーにいた客達がタチのいる部屋へ苦情を言いに行く。タチは客達に気づかず背を向けているので、客達は部屋のブレーカーを落とすと、「グィーン!(レコードの電源が切れる機械音)」とともに部屋は真っ暗に。
カットは切り替わり、オテルの支配人が水槽にもたれ掛かっている。支配人が左を向く—すると耳に掛けていたペンが水槽へ落ちる「ポチャンッ」
➡︎奇妙な音使い。呆気ないというべきか、くだらないというべきか、ハハっと自然に笑いが込み上げる
50年代、仏のcinéma からフランス人の笑い声が聞こえてくる。
現代の日本人には解らない‘古くさい’笑いが。
私は好き。