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トラスト・ミーのCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

トラスト・ミー(1990年製作の映画)
4.0
【ハル・ハートリー未DVD化の傑作】
ハル・ハートリーDVDBOXのクラウドファンディングに参加すること約半年。ようやく実家にブツが届いた。

今週末に実家から引き取るので、前夜祭として『トラスト・ミー』を観た。

ハル・ハートリーはミニシアターブームに現れた監督だが、ジム・ジャームッシュやアキ・カウリスマキの陰に隠れてしまった悲しき人物。

確かに、彼の作品を観るとどれもカッコイイのだが、物語が全然入ってこない為、数ヶ月もすると内容が霞んでしまう。

駄菓子菓子、この『トラスト・ミー』は日本でDVD化されていないのが不思議な程傑作であった。

いきなり衝撃的なシーンから始まる。
中退した女子高生マリアは妊娠していることを親に話し大ゲンカ。父がその勢いで心臓発作を起こして死亡するのだ。怒りに震える母親のキツイ圧に刃向かうマリアが、惹かれるのが常にイライラしている修理屋の青年だった。

ここまで聞くと意外とよくある映画じゃない?と思うかもしれない、これが予想の斜め上いく展開が次々と巻き起こる。

外をほっつきあるくマリアが行き着く店で同時に起こる二つの事件は、ビリヤードで玉が同時に穴へ落ちた時のような快感がある。

そして何よりも○○○の使い方に驚かされた。一見出落ちに見えるこのアイテムが、タイトルの『TRUST』を象徴する存在として使われる。破壊のイメージを匂わす○○○を使うことで、本作が破壊的愛の物語であることを象徴させ、破壊的愛にどこまで自分を委ね信頼することができるのかというテーマを強固にしている。このユニークな使い方に痺れた。

極め付けは、マリア役のエイドリアン・シェリーのファッション。丸メガネで、ゆる〜く着こなす青い服、ブルゾンに私はメロメロになりました。

これは是非DVD化してほしい。
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