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スリーピー・ホロウの福福吉吉のレビュー・感想・評価

スリーピー・ホロウ(1999年製作の映画)
3.5
1799年のニューヨーク、イカボッド・クレーン捜査官は当時の拷問による自白に懐疑的で、科学的な捜査の必要性を説いたところ、田舎の村スリーピー・ホロウで発生した殺人事件の捜査によりそれを証明するよう市長より命じられる。村に訪れたイカボッドは村人より首無し騎士による殺害だと教えられる。信じないイカボッドだったが、村に滞在中、首無し騎士に遭遇してしまう。

科学捜査を善とするイカボッド捜査官がスリーピー・ホロウの村を包む首無し騎士の殺人事件の謎に挑む作品であり、科学的捜査で事件を解明するかと思えば、ダークファンタジーな展開で意外性を持たせながら、その裏にはびこる人間の欲望を描いた作品になっています。

最初は登場人物が多く、人間関係が掴みにくいところがありましたが、ストーリーが進むにつれて、重要人物と犠牲者たちが分かっていくため、無理に覚えようとしなくとも大丈夫だと思います。

イカボッド(ジョニー・デップ)は前述のとおり現実的な人物であり、首無し騎士の存在を否定しますが、ストーリー早々に首無し騎士に遭遇し、イカボットの考えが覆されてしまいます。しかし、それでも事件を追い、首無し騎士が居る前提でその裏側を探るところがサスペンス的な面白さがあって良かったと思います。
ジョニー・デップが演じるキャラクター共通のリアクションの大きさとおかしさは健在で、色んな表情で楽しませてもらいました。

本作のヒロインのカトリーナ(クリスティーナ・リッチ)は魅力的で、それでいて敵か味方か分からない部分があって、その部分がストーリー展開に大きく影響していきます。彼女に惹かれるイカボッドですが、彼女の本心を理解するまで苦労しており、なかなか良いキャラクターだと思いました。

本作の鍵を握る首無し騎士は、見た目としてカッコ良くて黒い馬に跨って相手の首をバッサリ斬り落とす姿が残酷さより剣劇における剣さばきの見事さを感じました。血の描写があまり無いのもその一因かもしれません。首無し騎士の存在が肯定されてからの展開は見応えがあり、面白かったです。

あまりホラーという感じはしなかったですが、独自の世界観と首無し騎士の存在感、人間同士の欲望のドラマがかみ合った面白い作品でした。

鑑賞日:2023年4月22日
鑑賞方法:CS ザ・シネマ
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