りょう

レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまでのりょうのレビュー・感想・評価

3.6
 1955年当時のアメリカの若い夫婦の生活スタイルとして、このカップルはとても幸福そうでしたが…。ニューヨーク郊外の新興住宅地に戸建てのマイホームと2人の子ども、夫は大企業の社員でマンハッタンに出勤しています。
 ただ、とりわけ妻が女優の夢が叶わずに専業主婦になっているので、精神的な充足感が致命的に不足していたのでしょう。それがアバンタイトルのエピソードでもはっきりしますが、あの喧嘩の様子からすると、すでに倦怠期というレベルではなく、もはや離婚寸前でもおかしくなかったはずです。
 最初に観た13年前くらいのころは、この2人の年齢に近かったので、あまり客観的にはなれませんでした。久しぶりに観ても、結婚経験があれば自分の境遇と対比してしまうし、“こんなふうにならなくてよかった”と思うばかりです。やっぱり結婚生活には安定を追求するし、この2人のように冒険じみた発想もなかったので、それはそれで心が貧しいと指摘されてしまうかもしれません。
 この当時に結婚セラピストのようなものがあったかどうかわかりませんが、自分のことを守るためには、子どもたちのことを優先にしつつも、とっとと離婚すべきでした。こんな口論ばかりの夫婦では、家族の誰も幸福になれそうもありません。当時のニューヨーク州は妊娠中絶が違法だったのでしょうか。終盤のシーンに直接的な映像はありませんが、かなり辛辣な表現です。
 この作品が撮影された当時は、ケイト・ウィンスレットとサム・メンデス監督が実際の夫婦でした。その2人がよくもこんな物語を…と思いましたが、2年後くらいに離婚してしまったようです。なんとも意味深な後日談でした。
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