をん

マリー・アントワネットのをんのレビュー・感想・評価

マリー・アントワネット(2006年製作の映画)
4.2
好きにならずにはいられなかった。

先日のテレビ放送でようやく視聴。
「雰囲気映画」との揶揄も耳にしていたが、無条件にその雰囲気に惹かれ、のまれてしまった。
映像のキリトリ方、アングル、色遣い。ファッションに小物にスイーツ。自然豊かな風景に可愛い動物・子供たち。それに庭と城!
「幼き頃からの憧れ」と「好き」が雪崩状態で溢れかえっていて、女子にはたまらないなと思った。私も見事にノックアウト。心を鷲摑みにされた。贅沢で可憐で、華やかな世界に陶酔した。楽しい「疑似アントワネット体験」だったが、そこが監督の狙いだったのだろうなと思う。この映画の最も秀逸なところは、マリーの心へのクローズアップ。年端もいかない少女が母として、王妃として他国へ移る。臆病うぶ旦那をリードしなくてはいけないのは、年下である自分。周囲からのプレッシャー。自己の正義と現実のギャップ。デリケートな夫婦問題には誰にも相談できず。彼女の精神が崩壊し、贅沢に走ったのも無理はないのだ、と監督からのメッセージを感じた。楽しい疑似体験をさせられたことで、彼女の痛みや苦しみにもマリー視点で共感することができた。史実の描写が不十分だと思う人や、仏革命前に完結することへの疑問を感じた人もいるだろうと思う。ただ、タイトルが「マリーアントワネット」である限り、この撮り方は正解だと思った。王妃である前に一人の女性である、マリーの歴史が詰め込まれた作品でした。
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