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懲役太郎 まむしの兄弟のスギノイチのレビュー・感想・評価

懲役太郎 まむしの兄弟(1971年製作の映画)
3.0
兄貴分の「ゴロ政」が出所し、弟分の「不死身の勝」が出迎える。そして美味い物を食い、女を買う。
これがシリーズのフォーマットとなる。その後、調子に乗りすぎてヤクザにボッコボコにされるのも定番となる。
このシリーズ、必ず主役2人は一度ボコボコにされるのだ。

任侠映画の主人公にしては弱っちいが、「まむし」の名の通りの執念深さで最終的には敵を皆殺しにするのだ。
毎回10人くらい殺しているので死刑になりそうなもんだが、毎回なぜか政だけ投獄されているのもご愛嬌。
コメディ成分が多めとはいえ、雨の中でのたうつシーンなんかはかなりオーソドックスな任侠映画の画だ。
ここだけ見るとまだ「数ある任侠映画の1つ」という感じだが、「邪道」な2人に対して「本物」の安藤昇を設置している辺り、脱・任侠の兆しが見える。
また、主役2人に染みついた「底辺感」も特有のものだ。
バカをやりつつもどこか寂寥感が漂っている。
雨の中、2人の背中の刺青が消えかかるラストショットは、まさしく「まむしの兄弟」を象徴していている。
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