ケンヤム

悪太郎のケンヤムのレビュー・感想・評価

悪太郎(1963年製作の映画)
4.8
最近見た三本、正確に言えば四本が、なんだか同じ魂のようなもので撮られた作品のような気がして面白い。
映画が面白いのは、そういうつながりを自分なりに確立できるからだと思う。

森田芳光と鈴木清順。
普通この二人がつながることなどないのだけれど、自分の中で繋がってしまったのだからしょうがない。
どんなつながりかというと「つながらない人」という意味でのつながりだ。
カットとカットの間がつながらないという意味でもそうだし、フィルモグラフィを眺めても同じ人間が作った映画とは思えない。
映画をバカにしているようでもあり、この人たちの作品だけが映画であるようにも思う。
俺は三流で居続けるんだという気概のようなものを持っているのか、持っていないのかも判然としない、観客を舐めきったような態度。

それでも、なんだこれはと思わせてくれるのだから映画なのだと思う。
肉体と魂の一致はそのまま映画なのだと思う。
肉体と肉体から繰り出される行為を突き詰めていくことそのものが三流の身振りなのだと思うし、その身振りを焼き付けることが映画なのだと思う。
ケンヤム

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