登場人物の「不在」ということがマクガフィンとなって物語が進む映画の傑作。
三人の妻たちのスリー・ショットからの電話ボックスとの切り返し、回想前のつなぎのサウンド・トラックとか(すごく前衛的)、とにかくいちいちかっこいい。
こんなにうまい作家と思ってなかったので(ほんと失礼&わたしが無知で馬鹿)、『イヴの総て』を観直したくなる。セルマ・リッターも相変わらず面白い。このひとを見ているとなぜか杉村春子を思い出す。
『アニー・ホール』でのジェット・コースター真下の家とか、『ブルース・ブラザース』の窓外すぐに電車が走るシカゴのアパートとか、そういう映画は多々あるが、とにかく「家が揺れる」映画の傑作でもある。