イチロヲ

謎の下宿人のイチロヲのレビュー・感想・評価

謎の下宿人(1944年製作の映画)
3.5
深夜徘徊する奇妙な男を下宿人として迎え入れた老夫婦が、世間を震撼させている切り裂きジャックとの重複に気づかされていく。マリー・ベロック=ローンズの同名小説を映像化している、サスペンス・ホラー。

1888年にロンドンで発生した猟奇殺人事件を背景にしている作品。下宿人が殺人犯だと分かりきっている状況下で、人間模様を描いていく方向性になっている。31歳で早逝した俳優レアード・クリーガーが、まさにレジェンド級の演技を披露している。

ドラマ本編では、下宿人を受け入れた老夫婦と美しいダンサーの姪が、下宿人の素行を調査。「自分が切り裂きジャックに間違えられるかも知れない」という心理をうまい具合に取り入れながら、真犯人に振り回される一般庶民の姿が描かれる。

19世紀の霧の街ロンドンを舞台にしており、大勢の人物を配したエキストラ撮影がおこなわれているため、視覚的にも楽しむことができる。多人数の警官を配備して、四方八方から追い詰めても捕まえられない不思議。当時の切羽詰まった空気感が伝わってくる。
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