近本光司

素晴らしき日曜日の近本光司のレビュー・感想・評価

素晴らしき日曜日(1947年製作の映画)
3.0
二人合わせて所持金35円の、恋人たちの待ち遠しくない日曜日。ヒロインを演ずるのはすらりとした長躯のファニー・アルダンではなく、いくらかふっくらとした中北千枝子である。沼崎勲が浮浪児にメシ食ってるか? 寒くねえか? と尋ねると、少年はふんと鼻を鳴らしてみんな同じことばっか聞きやがると答えながらも、一心不乱に握り飯を頬張る。じっさいにこうした苛烈な現実を目の当たりにした者にしか書けない生々しさ。しかし全体をとおして黒澤明らしからぬ緩慢さで、体調でも悪かったのかと訝しんでしまうほどに間延びしている(過去3度この映画を観ながら寝落ちしてしまった)。動物園のきりんの小屋。子どもたちの草野球。