素晴らしき日曜日の作品情報・感想・評価

「素晴らしき日曜日」に投稿された感想・評価

takakage

takakageの感想・評価

3.8
闇商売渦巻く戦後日本で不器用に生きる男とそれを支える明るく健気な女。物質的に豊かになった今の時代でも、男特有の焦燥感は不変的なもの。とりあえず、こんな子を嫁さんにしたいなと思いましたね。まだ黒澤映画3作目ですが、抑揚が効いててほんとに終始ダレないですね。ヒロインが映画を観てる人に問いかけるシーンは日本映画史に残る名シーンやと思います。

俺たちゃスカンピンなんだぜ
こーゆー世の中だからこそ余計に夢が欲しいのよ。夢がなきゃ生きてけないわ、苦しくって
君だけなんだぜ、僕に残ってるものは
今はどこ行ったって豚みたいなやつばっかだ。闇太りだ
こいつも憂鬱そうな顔してらぁ。あなたが憂鬱なのよ
あんたはいっつも現在だけなのね。未来のことを明るく考えてみようとちっともしないのね
世の中の冷たい風にいつも凍えていなければならない貧しい恋人たちのために、どうか皆様の温かいお心で声援を送ってください。私たちに美しい夢が描けるようにしてください
茶一郎

茶一郎の感想・評価

3.9
 黒澤明監督の戦後四部作の内、最初の一本。今作『素晴らしき日曜日』は、ある日曜日を二月の東京で過ごす貧しいカップル・雄造と昌子のやり取りを描きながら、同時に戦後間もない日本の悲痛な現実を映し、その現実で生きる日本人の希望を描く作品になります。

 今作の製作当時、GHQによる戦後日本の民主化推進のため各企業に労働組合が配置され、加えて共産党員がそのリーダーになりました。もちろん映画会社もその影響を受け、黒澤監督が関与していた東宝は労働組合の闘争により映画製作を続けることができなくなった。その抗争は、組合に対抗するためスターを引き抜いた「新東宝」と、残った「東宝」との争いに発展し……というのが、いわゆる「東宝争議」。
 その中で黒澤監督含めた「東宝」はスター主義の「新東宝」に負けじと、何と一人で三作品の脚本を書くという英雄っぷり。結果的に監督主義の「東宝」が批評的に大勝利を収めたという結末は、ご存知の通りであります。
 そのような東宝争議の最中に製作された今作『素晴らしき日曜日』は、戦後一作目として黒澤監督が撮った『わが青春に悔いなし』のような戦中を回顧する作品とは異なり、荒れ果てた戦後の大地をもう一度見据え、未来の希望を想像しようという作品であり、戦後四部作は同様のモチーフが続くことになります。
 同時期に日本と同じく敗戦国であるイタリアの映画界でネオリアリズム作品が登場しますが、今作も同じく戦後焦土と化した自国を生々しくフィルムに焼きつけるという映画行為が、今作と重なるようにも思います。

 さて『素晴らしき日曜日』、その物語は休暇の日曜日を僅か35円(当時の貨幣価値)で過ごそうとするカップルの貧乏デートをコミカルに描くものが軸になります。
 特にカップルの男・雄造が「復員軍人」であるという設定は、同じく戦後四部作の『静かなる決闘』の藤崎、『野良犬』の村上と重なるものでありました。
 
 貧乏カップルらしく到底手が届かないモデルハウスを見て回ったり、と『(365)日のサマー』を想起させる微笑ましさが溢れますが、特筆すべきはクライマックス、「未完成交響曲」についての伝説的な二人だけの演奏会のシーンです。
 ここでは、いわゆる「第四の壁」を破るという『アニーホール』、『フェリスはある朝突然に』、最近では『デッドプール』同様の突飛な演出が施されています。驚くべきプリキュアシリーズの劇場版と同じ演出、黒澤監督は映画のライブ性を活かし観客に拍手を求めるのです。
 映画の中の登場人物と同じく、現実の戦後の焼け野原を見た観客は否応なく共感し、同時に観客同士でお互いを応援するような構図、ラストは凄まじく美しいものです。

 今作は、登場人物たちが想像力と夢とで持って悲痛な現実を打ち負かす様子を映しました。何より、これこそ想像力と夢で作られている「映画」の真の役割を表しているように思います。
1980年4月16日、高田馬場・ACTミニシアターで鑑賞。(450円) 

敗戦後の若いカップルを描いた物語。 
男(沼崎勲)と女(中北千枝子)がデートをする。黒澤作品にしては珍しく性的場面をほのめかす描写がある。 
終盤の「夢見る二人」をイメージさせる「架空のオーケストラ場面」はファンタジックなシーンである。 

男は、本作の冒頭では「道端に落ちている吸殻を拾う」が、映画が終わるころには「吸殻は拾わない」という対比により、成長を表現しているのは黒沢監督らしい。
だりあ

だりあの感想・評価

3.5
黒澤監督の戦後2作目。

この時代の作品全般に言える事だが、
当時の風景が映像として残っていることに
大きな意義を感じる。
この頃から存在するダフ屋、外出しても
何も出来ない生活水準などの生々しさに
加え、本来無音の場所で流れるBGM、
観客に呼びかけるラストシーンの演出、
印象深い要素が多くある。

黒澤映画の黄金期前夜という趣きもあり、
脂が乗ってくる高揚感を感じる作品。
タマル

タマルの感想・評価

5.0
貧乏すぎるカップルのお話。

女性側はロマンチックに過ごしたいけど、戦後の貧しさがそれを許さず。

男性側はエッチしたいけど、女性側の当時の貞操観念がそれを許さず。

何もできないし、何もしないけど、それでも素晴らしい日曜日。
苦しみを分かち合える人がいてくれるから。

この映画が製作される2年前は戦争真っ最中で、そんなつまらない(映画は面白いけど)デートする自由さえなかったのだなぁ、と思うと非常に感慨深いものがあります。

ドラマもなく、地味な映画ですが、観終わった後は主人公の男のように外に出て深呼吸したくなること必至の名画です!!
諭様

諭様の感想・評価

4.3
貧しい中でも、そこには笑いがあり、愛があった。
道具や自然を使ったシャレードがいちいち面白い。
個人的には、童貞臭さみたいなものを感じてそれもまた良かった。
mikoyan358

mikoyan358の感想・評価

2.5
2009/2/19鑑賞(鑑賞メーターより転載)
まだ復興途上の東京が映像の中に多く残されており、主人公達の心情とともに当時の空気感みたいなものがよく伝わってくる。貧しくて絶望に叩き落とされそうになりながらも希望を失わないというテーマと恋愛模様は、黒澤映画として考えればかなり異色。ただ、後半の「観客に呼びかける主人公」という驚きの仕掛け含め、映画館で観ている人々に参加してもらい、厳しい時代だけど元気を出してもらおうと言う製作者からのメッセージのようにも見える。でも、私は一人で観ていたので今ひとつ盛り上がらなかったのだが(笑)...
いい映画だ。


黒澤明はヒッチコックばりの映画科学者だ!!
sugi

sugiの感想・評価

2.9

このレビューはネタバレを含みます

ラストの指揮のシーンが撮りたいだけというか、それ着想だよな絶対
TSUTAYAで借りたDVDで観賞。

貧乏カップルが散々な目に遭いながらも日曜日のデートを明るく過ごす話。
何かする度に残金を数えて嘆き悲しむ二人を街頭撮影でリアリズム的に描き、その金も底をついた後は明るく吹っ切れた二人をセット撮影で幻想的に描く。その対比が面白かった。
クライマックスの演出が有名だが、公会堂へと急ぐ二人を流れるように追いかけるショット等、印象的な場面がたくさんあって観ていて飽きなかった。
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