とんぼ玉骨太郎

アニエスの浜辺のとんぼ玉骨太郎のレビュー・感想・評価

アニエスの浜辺(2008年製作の映画)
3.3
全体の印象としては「なんのこっちゃ」という感じでした。ただ、それはたぶん、この映画全体を「物語」として捉えようとしたからであって、それぞれの断片を優しくつまんで眺めれば、とっても素敵な作品だったのでは、と思います(それこそ、ヴァルダが作中で好きと公言していた「パズル」のように、断片化されたものの美しさのような……)

街に浜辺を作って仕事場にしてるシーンだとか、クジラの腹の中のシーン、あとは浜辺の男女のセックスに網をかけているシーンだとか、サーカスしてるとことか、後ずさるシーンとか、過去の再現映像に本人が干渉したりだとか。好きなシーンはいっぱいあります。
ただ、とくに好きなのがジャック・ドゥミが映るカットで……これは私の主観が入りまくってるのかもしれないんですが、ジャック・ドゥミがいるカットはすべて抜群によかったです。
ヴァルダがドゥミのことをどう思っていたのか、この作品ではあまりウェットに語られはしませんが、二人の間には愛しさのような沈黙があって、型通りの恋愛だとかそういう次元ではない感情すら存在していたような気がします。
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