三樹夫

ナイトメアー・ビフォア・クリスマスの三樹夫のレビュー・感想・評価

4.4
クリスマスってガキどもを恐怖のどん底に叩き落とすものだろ、というまさに俺たちのクリスマス。怪物側の楽しいクリスマスと街に住んでる人たちの楽しいクリスマスの楽しい部分が違う。もうイデオロギー対立みたいなもん。この映画観たら分かるが原作のティム・バートンはクリスマス嫌いなんだろな。バットマンリターンズでもクリスマスをぶっ壊そうとしてた。

シザーハンズでもそうだったが、白黒のゴス世界にいた怪物が色つきの街に来て酷い目にあって白黒のゴス世界に戻るというのがこの映画の流れ。ティム・バートンの中では白黒のゴス世界は天国や安らぎの場所で、原色のカラフルな場所というのは地獄や醜い世界みたい。
同年代の若者たちが外で明るく楽しく爽やかに青春を謳歌している時、ティム・バートンは家に引きこもってフィルムノワールやホラー、怪獣映画を観てた。なので完全に怪物側の人だし、白黒(特に黒色)が魅力的かつ安らぎであるのは自分の好きな白黒映画の世界だから。唯一の居場所と言っていいのかも。

この映画は怪物が俺の考える最高のクリスマスを提供して失敗(怪物側の優しさ溢れる譲歩だと思ってるが)、ゴス世界へ傷心帰還という話でシザーハンズ観た後ぐらいのたうち回ってもおかしくないが、サリーの存在が癒しになってる。ハロウィン・タウン及びその住人たちは凄い魅力的だし。
ハロウィン・タウンの住人はクリスマスが何かいまいち分かってないというコメディ+善意でやってるのに嫌われるという要素でオブラートに包まれているが、その中にあるのはクリスマスなんてくだらねぇ、ぶっ壊してやるという怨念だと思う。
三樹夫

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