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探偵スルースのBONのレビュー・感想・評価

探偵スルース(1972年製作の映画)
3.9
アンソニー・シェーファーの舞台を原作者自らの脚本で映画化。ローレンス・オリヴィエとマイケル・ケインの二大スター共演。エドガー賞映画賞受賞、第45回アカデミー賞監督賞・W主演男優賞・作曲賞に全てノミネート。また、ニューヨーク映画批評家協会賞主演男優賞にローレンス・オリヴィエが受賞作品。

妻に不倫されたミステリー作家の富豪ワイクと、その不倫相手の美容師マイロの復讐合戦を描く。全編を通してワイクの屋敷内でたった2人だけで繰り広げられるいたちごっこ。

ミステリーテイストを色濃く反映した設定に、最高峰のアートディレクションで磨きがかかった芸術的で面白い作品だった。2人の滑稽なコスプレゲームでの衣装や、不気味な機械仕掛けの人形や小道具の数々、パズルやパーラーゲーム等、イギリスの伝統的でクラシックな美術品が美しかった。

ローレンス・オリヴィエの渋く重厚な演技や、実はマイロに羨望の眼差しがあるなど、繊細な表情が素晴らしい。マイケル・ケインのイタリア移民と労働者階級の青年役がかなりハマっていて、快活でイキの良い二枚目で、アッと言わせるようなタネ明かしにはびっくり。

ほとんどが室内劇の中で、演劇的な脚本・セットにコテコテな演劇的演技が魅力的。現実的で真面目なスリラーやミステリーとは違い、26歳差の2人の演技がコミカルに光る一級品の娯楽作品だった。
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