原題「Massacre（虐殺）」。白人によるアメリカ先住民迫害を描く社会派エンターテイメント。監督は「ジャズ・シンガー」（1927）のアラン・クロスランド。撮影は「レベッカ」（1940）「白い恐怖」（1945）のジョージ・バーンズ。

19世紀末シカゴでの西部劇ショー。先住民族のいで立ちで荒馬を乗りこなすジョー・サンダーホース（リチャード・バーセルメス）は大人気を博していた。彼はスー族の長男だったが故郷を離れて白人の高校に進学、卒業後はショーで成功しシカゴで暮らしていた。そこに彼の父親が危篤との連絡が入り急いで帰郷する。久々の故郷で、ジョーは先住民たちが白人から酷い差別を受け虐げられていることを知る。父親は医者から診察してもらえず、所有地は横領されようとしていた。やがて父が亡くなるとキリスト教の葬式準備が始まり、さらに葬儀屋から呼び出されたジョーの15歳の妹が強姦されてしまう。怒ったジョーは葬儀屋を半殺しにするが、たちまち白人から逮捕されてしまう。。。

ヘイズコード直前の映画で、勧善懲悪が徹底的に描かれる。極悪非道な田舎の白人たち。妹を強姦した葬儀屋はジョーにロープで縛られ車で引きずられる。これを理由にジョーは逮捕され、村内の一方的な裁判で留置場監禁。さらに妹は、暴行された事を証言しないよう誘拐されリンチを受ける。

ジョーは役場勤務の先住民女性の助けで留置場を脱走し、ワシントン先住民課の後見人に訴える。正式な裁判が開かれ、白人側による先住民虐待が明らかになっていく。先住民のジョーが暴力による決着ではなく法と裁判を選択するのが本作のミソとなっている。

映画としては終盤の急ぎすぎた演出のみ惜しいところ。しかし本作を白人至上西部劇の全盛期に制作公開したのは立派の一言。多勢にカウンターを打ち込んだ反骨的な傑作カルト。