平田一

沈まぬ太陽の平田一のレビュー・感想・評価

沈まぬ太陽(2009年製作の映画)
3.8
観て損は無かったが、守りに入っている印象も…。原作は読みたくなったが、正直、何かなぁ…

冒頭の墜落事故や遺族が確認する場面。この部分は『Fukushima 50』同様、非常に凄まじい。よくここまで描けたなあと本当にキリキリした。

ただ恩地に絞った視点は視野を狭めていると思う。以前見た『白い巨塔(唐沢寿明主演版)』は複数の人間たちが織り成した人間ドラマが、しっかりと財前と里見のドラマを強度にした。つまり、ぶれちゃいけない軸を磐石にするために、周辺の人間ドラマにしっかりと向いていた。それが物語をとても深くしたと思う。

本作の問題は恩地という人間の強さの賛美が目立ちすぎて、彼がどこか可哀想に見えるところが気に入らない。いや、きっと原作に忠実かもしれないけれど、それでも映画に思ったことは、結局一面的なとこ。表面だけ触っただけの上っ面に思えちゃう…これは『Fukushima 50』を見ていた時も思ったが、骨太なテーマを扱う映画でそれは御法度では?単純な構造や図式で映画を構成すると、その事件を扱う映画の多様性が失われる。そういった議論の余地が無くなることは良くないと、少なくともボクはそう信じてるし思ってる。

でも良いところもあった。

相原崇と渡辺謙の飯屋の会話は微笑ましいし、石坂浩二の登場は張った空気を緩和させて、3時間の長尺の清涼になってくれた。勿論、只の清涼じゃなく、揺るぎない意志を見た。

これから山崎豊子さんの原作も読んでいって、骨太な日本の話を少しでも触れてみたい。過去を省みて、良い未来が生まれていく。恥ずかしい言葉だけど、そんな理想を目指したい(笑)。

あと別で驚いた。無名の頃の中村倫也や北村匠海もチラッと出てて、知らなかったから余計、驚いたし感慨に✨
平田一

平田一