歌うしらみがおりました

雨のしのび逢いの歌うしらみがおりましたのレビュー・感想・評価

雨のしのび逢い(1960年製作の映画)
4.0
ガキがスパルタ婆ァのもとピアノを弾いていると、窓のソドから何やら物騒な叫び声が聞こえてくる。ガキが興味を示して窓の外を見ようとすると、婆ァがピアノを弾くように促す。それを何度か繰り返すうちに婆ァもこれは深刻なようだと窓の外を見ると酒場に人が集まってきている。どうやら殺人事件が起きたようだ。と、窓や扉の外、ひいては画面の外側に意識を持っていかせるところにスリルを感じる。初めてジャンヌ・モローとベルモンドが出会うシーンでも、ジャンヌ・モローはしきりに息子を店の外で遊ばせようとする。会話するだ二人の周りを忙しく動く人々もその演出のうちか。だから、ジャンヌ・モローがベルモンドに会うべく、少し躊躇いながら自分の部屋のドアを開ける瞬間にとてもハラハラする。そして、映画史に残る慟哭の末に酒場で倒れ込むジャンヌ・モローを、まるで朝日のように、現実へと連れ戻すように、ガラス扉の向こうから照らすヘッドライト。傑作。