カシムラ

1978年、冬。のカシムラのレビュー・感想・評価

1978年、冬。(2007年製作の映画)
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絵の美しさだけで選んで見ながら寝落ちしようと見始めたら見切ってしまった。

文化大革命直後の発展の途上で農村と工場の入り混じる街を舞台にして、抑圧の時代に生きる若者の葛藤が風景的に描かれている。
時代が開ける前の静けさとか閉塞感が、農村の冬の画を通して伝わってくる。

表現としては、工業的廃墟感、寒色の感じとか、極端な長回しの遠景、農地の奥に霞む工場群とか、饅頭の湯気を照らす光とかが良かった。タルコフスキーぽさも感じた。

エドワードヤンが撮る戒厳令下の台湾だとか、佐藤泰志が書く地方都市の閉塞感だとか、「体制の中でもがく若者の、えもいわれぬどうしようもなさ」がテーマとして好きなのかもしれないな。結局誰のせいにも出来ないけれども誰も救われないという構図。世の中そんなもんと思ってる気がする。
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