Larx0517

ウォーク・ザ・ライン/君につづく道のLarx0517のレビュー・感想・評価

3.9
『ジョーカー』の彼の演技を引きずって、2度目の鑑賞。

「彼」は、いつも「リバー・フェニックスの弟」だった。
そのリバーが、弟の目の前でヘロインの過剰摂取で亡くなる。

若くして亡くなった「伝説」には勝てない。超えることはできない。
ただホアキンの場合、兄リバーとはあまりに違うキャラクターで、兄の「影」に苦しんだようにはうかがえない。
あくまで、外から見た限りだが。

その彼が影から躍り出たのが、『グラディエーター』の悪役。
もはや彼は「伝説の弟」ではなくなった。

いうまでもなく、彼の演技は素晴らしい。
だが、特に彼を観る時、いつもその向こうに彼自身を感じる。
演技派ではなく、個性派といわれる所以である。
幼少期に特殊なキリスト教の団体で育ち、厳格なベジタリアンでありながら、薬物の過剰摂取により目の前で、スターの兄を亡くす。
彼は役者になっていなければ、社会不適合者になっていたのではないか。
少年のような純粋さと、そのもろさと不安定さ、そして「ズレた」部分がスクリーンで輝く。

この作品でも、笑いながらも、目は笑っていない。狂気さえ感じることがある。
特に歌っている時の彼の瞳は、闇のように深い。

その彼が、幼少期に優秀な兄を亡くし、名声を手に入れるが、薬物に溺れる実在のスターを演じる。
役者でしか味わえない人生の皮肉ではないか。

1度目は、アカデミー賞をこの作品で受賞した、リース・ウィザースプーンに注目してた。
彼女はスタンフォード大学を中退した、「タイプA少女」。
誰もが認める優等生。
同じ映画も、視点を変えると新たに見えてくるものがある。
それを実感した作品。
Larx0517

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