いろどり

蟹工船のいろどりのレビュー・感想・評価

蟹工船(2009年製作の映画)
1.5
労働者(プロレタリア)の厳しい現実を描くプロレタリア文学の代表作、小林多喜二の「蟹工船」の二度目の映画化。

原作は、貧困や借金など働き口のない労働者を劣悪な環境で搾取する資本家と労働者の対立を描いている。 

蟹を捕り、船の中で缶詰にまで加工してしまうので蟹工船。

オホーツク海の船上の閉鎖空間で次第に追い詰められていく労働者たちの不満や憎悪、不衛生な臭いまで漂ってくるかのようなリアリズムでかなりシビアな内容。
私は途中まで読んで挫折した覚えがある。

軍国主義が進む中、小林多喜二は国家を批判したと特高警察に捕まり虐殺された。

そんな深刻な背景が伴う原作なのだけど、コメディ色が強くてポカンとしてしまう。いきなりビートを効かせたダンスミュージックがかかったりして、空回りしてしまっている。

後半になるにつれて説経臭く青臭くなるのもどうにも浅い。せっかく良い役者揃い、良い原作なのでもったいない。

西島秀俊は線が細く現代風なので、お役人エリート風にしたかったのかもしれないけど、極寒の船での絶対的上司、現場監督のイメージではない。
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